弟子:そろそろペコちゃんについて何か語って下さいよ。
師匠:もうみんな知ってるだろ。ネットも普及してるし。
弟子:そんなの構わないじゃないですか。
師匠:そう?じゃ、ペコちゃんは永遠の6歳。身長100cm、体重15kg。
弟子:うんうん。
師匠:ポコは永遠の7歳。身長100cm、いたずら好きでワンパク。
弟子:ポコは呼び捨てなの?
師匠:ペコちゃんは「腹ペコ」ではなく子牛の「ベコ」ポコは“幼児”の古語
「ぼこ」から。
弟子:ポコは呼び捨てなの?
師匠:社長が日劇のショーからヒントを得て誕生。製作は日劇の大道具さん。
弟子:張り子だったんですよね。
師匠:ま、ここらへんはよく知られてるエピソードだよね。
弟子:好きな人なら知ってるよね。
師匠:誰もが知る“ミルキー”が販売され始めたのが1951年。
弟子:うんうん。
師匠:それより17年も前の1934年にフランスキャラメルってのを不二家
さんが発売した。
弟子:昭和9年というと、気分的には大正な感じですよね。
師匠:そうかもね。こういうやつね。
弟子:あー、なんとなく分かるような気がする~。
師匠:この女の子が“ピコちゃん”
弟子:マジデスカ!! ペコちゃんの話じゃないけどちょっと驚いた。
師匠:ミルキーの対象年齢はフランスキャラメルより低年齢だからもっと
分かりやすい絵柄を考案。
弟子:で、生まれたのがペコちゃんというワケですね。
師匠:ペコポコの年齢設定は公募したんだよ。高級車が当たるキャンペーン。
弟子:年齢設定ってのもスゴイですね。名前の公募じゃないんだ。
師匠:応募総数166万通だって。
弟子:大当たりは年末ジャンボ宝くじ並ですね。スゴイ数。
師匠:ところでペコちゃんといえば青いリボンに青いオーバーオールだろ?
弟子:は?違うでしょ。赤ですよ赤!
弟子:あれ?あれれ?
師匠:混同しがちなんだけどね。
弟子:え?どういうこと???
師匠:商品パッケージのキャラクターと販売促進用のキャラクターは違う
んだよ。
弟子:そうだったんだ!!
師匠:パッケージは青リボン、青いオーバーオール、黄色Tシャツで上半身
にほぼ固定。
弟子:ほぼ??
師匠:ポップキャンディはこの限りではないね。ペコちゃんフリーダム。
弟子:ほんとだ。でも販売促進用のキャラクターは赤なんだ。へー。
師匠:舌の向きもパッケージと店頭人形は右で固定。
弟子:向かって左ね。
師匠:販促用ペコちゃんの舌の向きはポーズによって違うんだよ。
師匠:近年キャラ的な事が厳密に決められたんだけど、昔は比較的フリー
っぽかった。
弟子:古き良き昭和ですね。デザイナーによるって感じ?
師匠:デザイナーといえばレイモンド・ローウィって人知ってる?
弟子:知りません。
師匠:20世紀最大のデザイナー。「アメリカを形作った男」の異名を持つ人。
弟子:その偉大な方がなにか?
弟子:マジデスカー!!!
師匠:“F”は創業家のF。不二家のF。
弟子:へーそうなんだ!
師匠:Familia、Flower、Fantasy、Fresh、Fancyの意味が込められている。
弟子:わぁ~、Fの宝石箱やぁ~。
師匠:覚えておきたまえ。今では不二家さんは森も育ててるんだよ。
覚えておきたまえ。
弟子:で、ここで取り扱う商品については何か言うことはないの?
師匠:ない。
弟子:ないって……。
師匠:古き良き昭和から今日まで数えきれないほどのペコちゃんがあるだろ?
弟子:ありますね。ありすぎです。
師匠:その一つづつに由来がある。
弟子:そうでしょうね。それを聞きたいのですよ。
師匠:分かるわけないじゃん。総アイテムリストなんかないし。
弟子:ミもフタもないですね。
師匠:近年では地方都市の大規模小売店がコラボしてペコちゃん人形を作
っているほどだからね。
弟子:そういうのは公の告知とかないの?
師匠:ない。その地域にコミットしていないとワカラナイ。
弟子:それじゃぁねぇ……。
師匠:商品にオマケとして付属していた小さなモノやプレ招待者限定とかも
あるし。
弟子:うーん。
師匠:宝箱系の中のお宝も全て把握しなければならなくなる。
弟子:なーるほど。
師匠:その他にも関係者や従業員に配られたものあるし、キリがないんだよ。
弟子:でもさ、おもちゃ鑑定士とかがいろいろ語るじゃん。
師匠:そのへんを語りだすと3日くらいかかるけどいいの?
弟子:いえ結構です。
師匠:商品についてはできるだけコンディションのいい物を紹介するように
してるよ。
弟子:それはそうですね。
師匠:商品画像を特別キレイに撮っているワケでもないし。そんな技術も
ないしね。
弟子:ま、ウチらしくていいか。
師匠:決して安価なものではないから納得した方にお買い上げいただきたい
と思うワケです。
弟子:自己責任って言いたいんですね。
師匠:やめて。人聞きが悪いから。