師匠:今では三味線屋より数が少ないとさえ言われる模型屋さん。
弟子:そういう事言うとまた怒られるよ。
師匠:今日は昭和のプラモデルあるあるな。
弟子:はい。
師匠:ではジャンルを選んでください。
弟子:はい。
師匠:車、バイク、戦艦、飛行機、模型、模型屋の6択。
弟子:じゃ飛行機で。
師匠:飛行機は戦闘機と航空機があります。
弟子:戦闘機で。
師匠:エンジンを作る時テンション爆上がり。
弟子:そうそう。ワクワクしますよね。丁寧に作ろうって思う。
師匠:だけど組み上がりはプロペラしか見えません。
弟子:そうだよね。あれ見えないよね。意味ないよね。
師匠:で、そのエンジンが入りません。どっかが当たってて。どこだかは謎。
弟子:ムリにはめるとどっかが割れる音がすんの。航空機は?
師匠:胴体を左右貼り合わせ。翼を上下貼り合わせ。胴体に左右翼貼って終わり。
弟子:航空機はやることないのね。
師匠:しかも翼が胴体に接着しない。接着面に対して翼が大きくて重いから。
弟子:あはははははは。
師匠:でね、垂直尾翼の左右が絶対にズレてるの。金型ちゃんとしろよな。
弟子:昭和らしいよね。そこはちゃんと削るなりして合わせてくださいよ。
師匠:ボンナイフしかないのに?
弟子:ボンナイフーーーwwwwwww。
師匠:手持ちの道具は爪切りとボンナイフだけだよ。
弟子:恐るべき昭和感ですね。じゃ、車で。
師匠:最後の最後なのにボディとシャーシが組み合わない。
弟子:あーーー!あるあるあるあるあるーーーーー。
師匠:説明書を信じてたのに。
弟子:あははははははは。
師匠:ガチャガチャしてるうちにバンパーとか取れちゃうの。
弟子:泣くー。
師匠:鉄板だよな。金型ちゃんとしろってば。
弟子:じゃ、模型屋で。
師匠:買うに当たっては箱内を見たいんだがあけるとニラまれる。
弟子:あるあるある。
師匠:高いものは手の届かないところにある。
弟子:それは意味が深いですね。
師匠:店主が作ったプラモデルには興味などない。
弟子:ケースに入れて置いてあるけど魅力がないよね。チョイスにね。
師匠:死に在庫を作ってるだけだからな。
弟子:じゃ、戦艦は?
師匠:1/700では小さすぎるし1/350では大きすぎる。
弟子:わかるわかる。1/500くらいがいいよね。
師匠:船底+右舷側左舷側+甲板でイヤになる。極めつけはマスト部分。
弟子:あれ無理です。あれ出来たら米に絵を描く人になれるよね。
師匠:1/350で甲板部分組む時なんかは過呼吸になるね。
弟子:絶対にすんなりいかないからね。じゃ次は模型で。
師匠:ボンドは付属品。接着力25点。
弟子:そうそう。弱かったよね。糸引くし。
師匠:デカールは水につけて剥がれなくても気にしてはいけない。
弟子:というかちゃんと剥がれて貼った覚えがないですよ。
師匠:デカールは紙製のシールのものもたくさんあった。
弟子:曲面には貼れないんですよね。では最後のバイクで。
師匠:作れない。
弟子:は?
師匠:作れないの。バイクはムリ。
弟子:なんで?
師匠:前輪サスペンションにタイヤ固定できない。
弟子:………………。
師匠:後輪は接着面に対してパーツが多すぎ。グラグラでモコモコ。
弟子:………………。
師匠:エンジンはフレームに入らない
弟子:………………。
師匠:ビニールコード類は机上の空論。
弟子:………………。
師匠:マフラー固定できない&ピタリ感ゼロ。
弟子:………………。それはそうかもしれない
師匠:ウィンカー接着面小さすぎ。
弟子:………………。
師匠:バックミラー固定不能。
弟子:………………。
師匠:スタンドだけで自立させるのもムリすぎ。接着点が小さすぎる。
弟子:恨み節炸裂ですね。
師匠:でもついこの間、もうだいぶ進化したんじゃないかと思って再トライ!
弟子:熱量がすごいですね。
師匠:どうかすると半世紀ぶりだよ?
弟子:どうでした?どうでした?
師匠:全く変わってなくて全く同じってゆー。あーし、びっくりしたぅ。
弟子:あははははははははは。
師匠:ソッコー捨ててやったぅ。
弟子:ところでさ、なんで戦車はないの?
師匠:戦車?戦車には何もないからさ。平和に作って終わり。
弟子:だから戦車は人気があるんだね。
師匠:プラモデルはさ、作り終わったら箱絵を模写するじゃん。
弟子:はい? しないよ。
師匠:いやいや、箱の絵を手本に同じ絵を描くじゃん。
弟子:描かないってば。
師匠:いやいや、大きいカレンダーの裏の白紙のとこにさ、ほら。
弟子:描かないってば。ってか紙ぐらい買いなよ。
師匠:だから昭和だから。大きくて厚くて白い紙なんかないんだよ。
弟子:どんな昭和ですか。
師匠:いや、お前おかしいよ。描くだろ。